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September 07, 2005

やまどんど

私の実家では毎年8月6日、7日にヤマドンドと呼ばれるお祭りが行われる。

有名な合戦シーンを山車(地元ではヤマと呼ぶ)の上に再現し、子供等が太鼓と笛に合わせて「ヤマドンドそれ!」と言いながら曳き練り歩く。木製特大荷車の荷台(トラックに使いそうなゴツいタイヤ4本付き)に、戦国時代の合戦を再現してある。ヤマは「前ヤマ」&「後ろヤマ」、中間に「太鼓&打ち手スペース」の部分から成る。屋根付きで、高さは3メートルほど。※ひらがなで「やまどんど」をキーワードに検索するといくつか写真入りでHP があります。

ヤマのルートにある家は、大体1000円程度のご祝儀を出す。ご祝儀袋には名前が書いてあり、前ヤマに乗った小学校高学年~中学生が昔ながらの口調でお礼の口上を述べる。ご祝儀はハナ(多分「花」)と言う。200年は続いているお祭りだけあって、口上は時代がかっている。「東西東西、花の御礼を申し上げます。ひとつき(一つ金?)、一千万円也、一千万円也。右は、〇山〇子様から。ヤマのミハナ(御花)としてご祝儀に与り、ありがたく、ありがたく、ありがたく頂戴つかまつりまーす」と述べる。口上が終ると、太鼓と笛のにぎやかなお囃子に合わせて、二人の子供が花火を大きく回し、ヤマを曳く子供らは「手っこたたけ、手っこたたけ・・・・」唱和し、お礼のパフォーマンスを披露。

ヤマ(山車)上には、ほぼ等身大の鎧武人形で合戦名場面を再現。
・「義経の八艘跳び」--いくさ舟に飛び移る義経が平家武将に肉迫。
・「川中島の戦い」--武田信玄が軍配で上杉謙信の刀を受け止める。
・「本能寺の変」--信長が長槍、森蘭丸が刀で明地軍に応戦。
・「加藤清正の虎退治」--清正の槍が朝鮮の大虎を刺す。
・「純ちゃん夏の陣・総選挙」--これはウソ。
などなどたくさんバリエーションがある。その年の大河ドラマの場面を再現する傾向はあるが、かなり前にどこかの町内で「ピンクレディー」と題し、M&Kが踊っているのもありあれは大いにウケた。人形と人手・時間にゆとりのある町内は、メインの前ヤマと後ヤマの2パターンの場面を再現する。前と後ろは違うものでなければならないので、前ヤマが「巌流島の決闘・佐々木小次郎の最期」であれば、後ヤマは「弁慶の立ち往生」といったシンプルで済むものといった具合だったと思う。

この夏祭りには20数年ぶりに参加。祖母の葬儀終了後ではあったが、持参の篠笛(しのぶえ)を吹いた。やはり子供の時からやってきた祭りは面白い。自分が小学生~中学生くらいまでは下準備は殆ど子供らでやっていた。町内を回っての寄付集め、材料の購入、武将の鎧に兜、刀と矢じりの製作、特大灯篭へ揮毫を町内の筆自慢に依頼・・・夏休みの時間は全て投入していた記憶がある。いまは少子化で大人がメインの由。また今のヤマの周囲は紅白の幕でおおっているのが多いが、以前は杉の小枝を周囲に隙間無くびっしりと打ち付け、何か巨大な生き物の様だった。数日前からは、ヤマ本体の組み立てが始まるが、さすがにここからは大人の出番。子供らは組み立てを横目に見ながら、杉の葉の匂いにまみれて小枝を打ち付け、これから祭りが始まるとワクワクしたものでした。

篠笛は帰省前日に、荒川の橋の下で30分ほど練習した。思い出す曲は、「練り歩き用」と、「花が上がった時」の2種類だ。さすがに20年ぶりなので、吹き始めは音が出なかったがすぐに腹から直接空気を吹き込むコツを思い出した。まあまあのレベルにすぐ戻った。練り歩きの曲は、平の内翁直伝。平の内流は装飾譜が多いが、聞いて太鼓のリズムにピッタリだ。師匠の平の内翁は95歳でご健在。自転車で時折買物に行かれる由。ちなみに練り歩き時には山田流というものもあるらしいが、残念ながら聞いた事が無い。
もう一曲の「花が上がった時」の太鼓に笛で合わせるのは、鉄道唱歌「汽笛一声新橋を、早わが汽車は離れたり…」のあの曲が一般的である。何かもう一つか二つ違う曲でも仕込んでいこうかとNHK新シルクロードのオープニングテーマを物色。同曲のサビの部分を妙に明るくアレンジしてみた。ヨーヨーマ師匠お許しあれ。もう一曲は同じ秋田の竿灯祭りを使ってみようと思った。太鼓のリズムが似ており使いやす易そうだ。元々竿灯笛は5分もある長い曲だが、その主旋律を頂戴。同じ篠笛の曲なので指使いが楽で、音も安定して吹きやすい。篠笛は日本の楽器なので、現代曲の西洋音階は音が外れ、安定して吹けない部分が多い。その点地元に昔から伝わっている曲は淘汰されて残った曲のようで、安定して吹く事が出来る。
ちなみに自前の篠笛は、同好の士、某総菜屋・看板娘からの貰いもの。使っていないのでと言われ、ありがたく頂戴。大岡紫山ブランドの獅子田藤両巻スタイル。内部は赤漆仕上げで、やや高音の七本調子タイプ。軽量且つ短目で、護身用には不向きだが、高音が澄んでおり、よく響く。

さて当日夜。7時30分出発の30分前に笛を持って出陣。ちょっと年下の従兄弟も来ている。この従兄弟は子供の時から夏休みの工作にはミニチュアのヤマを作って持って行く筋金入りのヤマ中毒。こちらも酸欠になるまで笛を吹きまくった元笛少年。「三つ子の魂百までも」とはよく言ったものだという表情でしばしお互いを指差し、あははは・・・笑い合う。他にも多く町内の懐かしい顔ぶれが揃っておりタイムスリップした気分であった。何気なく人形の飾り付けを見るとレベルが格段に上がっている。自分達のやっていた時とは比較にならない出来栄えである。私より学年で7~8級上のT氏が加わってからこうなった由。T氏は業務であちこち行かれるが行った先に同類の山車を曳く祭りの地であれば、その土地の人形名人に懇願してその作り方を聞いてきたり、HPを検索して独自に研究されたりとまさにヤママニア。今年のテーマ「義経八艘跳び」は波のしぶきまで作りこんである本格な仕上がりで、こちらも久々に笛の吹き甲斐があろうというものである。
ややあってスタート。子供らが綱に群がってヤマを曳き、町内を練り歩く。こちらも太鼓に合わせて笛を吹く。上品で雅なお祭りではないし、太鼓は3人で叩くのですごい音だ。笛も負けない様に、相当な音量で響かせる必要があるので、肺は満タンとぺしゃんこを繰り返す。慣れない人だと頭が真っ白になり卒倒する事間違い無しだが、こちらはプールで毎日1キロ泳いでいるので、肺活量に問題無し。また昔覚えた力まずに息を一点に吹き込むコツのおかげで、まあ時折クラクラする程度で済む。普段の日ならばクレームが来るような音量で、平の内流に鉄道唱歌、ヨーヨーマに竿灯笛を指がつる程演奏。多少なりとも祭りに花を添える事ができたかな、と自己満足の夏で
ありました。

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