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March 16, 2005

初乗馬2

フー、フーと鼻息が荒く何だか大きそうだ。これはヤバイと覚悟を決める。向うはこちらをじっと見ているようだ。ボーマン船長は映画史に残る報告だったが、この状況を私は誰に何と報告すればいいのだろう。じっと目を凝らすと白い大きな生き物のようだ。徐々に目が慣れて来る。見覚えのある生き物に思えてきた。

どうやら牛のようだ。

翌日は快晴で無風。
盛夏だが高地なので心地良し。ボコダ連峰の山頂は雪化粧。山頂までは本格登山との事で、装備なしの素人には無理。パオを馬で出発し、山道を1時間行く。岩場に着いたら馬も無理なので人間の足で1時間ほど登り、峰の中腹で引き返すトレッキングコース。2頭の馬が牽かれて来た。連れの日本人はざっと体重90キロなので大きめ目の馬、私にはもう1頭があてがわれた。昨日の客引きカザフ族の2人が先導して森の中に入る。2人とも乗馬初体験なので、手綱の持ち方も前進の仕方も知らない。それでも何となく出発してしまったので、遅れないように脚で馬の腹を蹴ったり、「それっ」などと声を出したりして何とか付いてゆく。最初は中国語で馬に言ってみたのだが、カザフ語でないからか、迫力が無いのか伝わらない。やはり日本語でご理解いただいた。それにしても馬は揺れる。さらに怖さで体も強張るが、木の枝が近づいて来るので、上体を反らしたり、ひねったりする必要がある。落ちないで乗っているのが精一杯。
そのうち馬は頭部をガクッと下げて手綱を引っ張り、「お前手綱を引っ張り過ぎだ」と人間の調教を開始。この状況では逆らえないと、ここは大人しく馬に調教されるままになった。
徐々に道が険しくなって来る。岩を乗り越え、倒木をまたぎ、小川を渡る。連れの90キロは馬を進める事をギブアップ。手綱をカザフA君に持ってもらい牽引車輌状態。最後尾の私の馬は置き去りにされてはかなわないと、自発的に追い付いてくれた。徐々に馬に対する怖さも薄れ、揺れにも慣れて来て景色も見えてきた。時折、樹間からボコダ連峰が見える。青空をバックにしてまことに秀麗。カコ、カコと馬の足音も周囲に響く。何とも言えない旅情に浸る。時折は道幅が広く足元の状態の良い所に至る。そうなると速めの常歩(なみあし)やさらに、速歩(はやあし)になり、いっぱしの騎手にでもなった気分。

やがて林が切れて、視界が完全に開けボコダ連峰がパノラマで見える。そこからは、急な登りで馬では困難。人間の足で登る事に。馬と2人のカザフとも3時間後にこの場所で待ち合わせると決めて別れた。全面に草が生え、道は土がむき出しで、時折遭遇する大岩の間を縫っての登る。ボコダ連峰が次第に大きくこちら威圧してくる。さらに進むと空気も薄めで息が切れるようになった。ここらでいいかと一際大きい岩を折り返し地点とした。振り返って下界を眺めると、森の中に空がある。風が無いので天地が鏡面となり、空を写して青く光っている。景色のせいか、薄めの空気のせいかしばらく呆然として眺めていた。多分口が半開きだっただろうな・・・

戻りはこちらも行程を把握しており、馬にも慣れて乗馬を楽しんだ。さすがに駈歩(かけあし)にはできないが、速歩で先頭で先に行った。後ろからゆっくり行けと声が飛んだが、私は面白くて勝手に進んでしまった。行きは1時間ほどかかったが、帰途は40分程で出発地点に戻った。実はこれは非常に危険な事だと後で知る事になる。戻りの行程は、馬は早く家に戻りたがりスピードアップする傾向が大。乗り手が抑えないと馬によってはコントロール不能となる場合もある。私は馬が利口だったので、初乗馬は事故無く戻れたのでありました。

パオに戻ると香港人の団体が6名居てにぎやかだった。この日は羊を1頭解体して茹で肉にする由。羊の解体はカザフのママがした。四肢を抑え、浅く開腹して手を体内に突っ込み心臓の血管を断つ。羊は大鳴きして暴れてたが、徐々に声が小さくなり、全身を痙攣させ、眼が何も映さなくなった。セーターを脱がせる様に毛皮を剥ぎ、血はこぼさずバケツで受ける。内臓も別の容器に取り分けた。肉は骨つきのまま適当な大きさに切り分け、パオの中で茹でる。一段落すると、カザフママはそこいらに居た我が子2人を呼んで、外に火をたかせる。火が起きると内臓容器のなかから心臓を選び出し、焼いてあげた。2人とも満足そうに食べていた。

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March 07, 2005

初乗馬1

ここ2年程はご無沙汰ですが、まあ乗馬を趣味と申し上げても詐欺にはならないでしょう。最初に馬の背にまたがったのはいつだったかと思い出してみると・・・

1985年7月。中国新疆ウイグル自治区の省都はウルムチ。そのまた郊外、バスで3時間程の「天池」まで観光に行った。天池はかなり海抜の高い所にある湖で、夏の軽装でたちまちよそ者と分かったのか、はたまた同行の日本人留学生の尋常ではない体型(使用前の方)がご愛嬌だったのか、カザフ族の3騎から声がかかる。こちらは留学半年目の日本人の中国語、方や北京語少々の少数民族。会話は弾まないが意志は通じる。天池の奥に偉容を見せる「ボクダ連峰まで行くのなら、うちのパオに泊まって、明日馬で連れて行ってやる」とのこと。この当時はどちらも、おおらかなもので値段は全く取り決めせず、双方じゃあ行こうとなりました。馬上の3人はともに10代後半~20歳くらいかと思われたが、なかなか精悍な顔立ちで、これが馬上の効果でさらに凛々しさとエキゾチックさを増し、思わず見とれてしまった。湖畔の道を一時間程徒歩で、馬に遅れぬよう付いて行くと天池の奥に行き着いた。湖畔の道と別れ、森の小道をしばらく歩くと横たわる3メートルの急流。倒木の橋を渡ると本日の宿、パオが見えた。

その日の客は我々だけのようで、パオの中にはカザフの家族のみ。夫婦と少女2人と客引き騎馬団の少年1人。他の家族は親戚の所に泊まりに行った由。夕食は羊肉入りの刀削麺ならぬ手千切り麺。パオ中央がかまどの定位置。そこに五徳を配して大鍋を置き、麺を茹でる。塩で味を整え、羊脂の浮いた汁気たっぷりの麺はシンプルにしてディープ。一口啜るとあまりの美味さに、目玉が上を向いて戻らなくなってしまった。照明と暖房はかまどの火。ついつい火に見入ってしまいました。
深夜外に出ると、ざっと万単位の星がこっちを見ている。映画「2001年宇宙の旅」ボーマン船長最後の報告「星がいっぱいだ!」とはこんな感じだったのか。寒気の中で我が身は銀河の一点いるのを実感。星に見とれていると草むらでガサガサ音がする。近くに何か生き物の気配がする。
狼か!?たちまちアドレナリンが全身を循環。
(続く)

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